“関西の奥座敷”と称される有馬温泉。直線距離なら大阪駅からたったの25kmしかなく、東京駅から横浜駅の距離(28km)に過ぎない。しかし、六甲山の裏側に位置するため山を越えるか山を迂回してのアプローチを強いられる。今回は六甲有馬ロープウェイと六甲ケーブルを利用して山越えのルートを実踏してみようと思う。
有馬温泉への往路は神戸電鉄を利用。有馬口駅で有馬温泉行に乗り換える。神鉄にとっては随一の観光路線のはずだが、新開地方面の直通列車は少ない。電車で有馬へ行く人は少ないのだろうな…と思ったが、有馬温泉駅で降りると狭い駅前にホテルや温泉施設の送迎バスが入れ替わり立ち代わりやってきて賑やかだった。ということで電車の需要もそれなりにあるようだ。
ここから六甲有馬ロープウェイの有馬温泉駅まで歩いてみる。有馬温泉ループバスに乗るという手もあるのだが、1時間に1〜2本の運行なのでバスを待つよりも歩く方が手っ取り早い。歩いても15分の距離です。そしてなんといっても今回は「六甲・有馬周遊1dayパス」を持っているので、特典として日帰り温泉の「金の湯」または「銀の湯」の入浴券がついている。これを使わない手はない!とばかり、「金の湯」に浸かってきました。有馬らしい茶褐色のお湯が温泉気分を盛り上げてくれる。神鉄・有馬温泉駅から徒歩5分。阪急バスの有馬温泉ターミナルからは1分です。
写真は阪急バス・有馬温泉ターミナル。有馬温泉へのアクセスはバスが断然便利です。この阪急バスなら大阪梅田(高速バス)と宝塚、芦屋、西宮名塩、三宮などへの路線バスがあり行先の選択肢が豊富です。また、太閤橋近くの有馬温泉バス停にはJRバスの大阪駅と三ノ宮駅行き、さくらやまなみバスの夙川経由西宮北口行が発着しています。
15時40分、「金の湯」を出てロープウェイ駅へ向かう。土産物屋や飲食店が立ち並ぶ中心街から離れて、高級ホテルや企業の保養所が点在する風雅なエリアを抜けていく。ずっと登りが続く。風呂で汗を洗い流してさっぱりしたのはすでに過去の話。再び全身から汗が噴き出した。坂を登り切ってさらに頭上に「有馬温泉駅」という看板が架かった建物が見えた。
その坂の手前に有馬ループバスのバス停があります。神鉄・有馬温泉駅との間の温泉街を周回する「有馬ループバス」は1時間に1〜2本運行で、しかも運賃がたった100円なのがうれしい。
【追記】
有馬温泉ループバスは2011年10月31日で運行を終了しました。
坂の上の駅にたどり着くと、ちょうど改札口が閉じられてゴンドラが出ていくところだった。次の発車まで20分あるので、近くにある鼓ヶ滝へ行ってみた。昔は鼓を打つような音が響いたことからその名がついたという。今はもう鼓の音は聞けないものの、白く砕ける水しぶきが清涼感満点でした。ロープウェイ駅から10分で往復できるので時間があれば立ち寄ってみてください。
ロープウェイで六甲山頂へ。乗車時間は12分間と結構長い。空中散歩を楽しめる人なら良いが、高所恐怖症の人は身が縮んでしまうかもしれない。裏六甲を通るロープウェイだが、ちらりと明石海峡の海が見えたりして眺めが素晴らしかった。そんな中でどうでもいいけど、乗り合わせたグループ客の中年男性が「八甲田山のロープウェイの方が絶対長いよねー、ねえ?」と乗務員にしつこく吹っ掛けていたのが耳障りだった。
六甲山頂駅を降りると、かつての表六甲線の乗り場とゴンドラが残っていた。コイツが動いてくれれば六甲ケーブルへの乗り継ぎもスムーズなのだが、無いものを恨んでも仕方がない。
駅前に出ると気温はいささか涼しくはあるが太陽光線は下界よりも強く感じる。日陰に退避してしばらくすると六甲山上バスが勢いよく現れた。六甲ガーデンテラスや高山植物園などの山上のプレイスポットを経由していく。13分で六甲ケーブルの山上駅に到着。バスを降りると眼下に大きく視界が開けた。快晴の夏空の下、大阪湾全体から明石海峡まできれいに見渡すことができた。
写真は六甲ケーブルの山上駅と六甲山上バス。有馬ロープウェイの六甲山頂駅行きと摩耶ロープウェイ山上駅行きが発着している。摩耶方面への乗り継ぎも興味深い。
六甲ケーブルは小学生の頃に一度乗車しているはずだが、現地に来ても記憶は蘇らなかった。2両連結の車内は満席。私は下側のオープン車両に乗り込んだ。吹き抜ける風が冷たくて気持ちいい。冷房いらずの節電列車だ。
六甲ケーブル下駅で今度は神戸市バスに乗り換える。阪急六甲、JR六甲道経由、阪神御影行きが待っていた。六甲縦走のゴールはすぐそこである。JR六甲道駅に下車したのは17時30分。約2時間の山越えだった。
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