尾道1520発−（しまなみライナー）→今治1653着／1716発−（予讃線 5557M）→松山1836着・・・

尾道は坂と海と造船所の街である。尾道駅の改札を出れば目の前に海が川のように横たわっている。対岸の向島には造船所のクレーンが林立していて、両岸のあいだを渡船が頻繁に行き交っていた。

私が訪れたのは年の瀬の12月30日だったから、造船所で働く人たちや通学の生徒たちの姿は無く、カメラを携えた観光客がわずかに散策している程度であった。この街は平日に訪れたほうが面白いだろうと想像した。バス待ちの2時間ほどを利用して、渡船を使って向島まで往復してみた。写真は向島の渡船乗り場。レトロな看板が印象的だった。

坂と造船の街といえば長崎もそうであるが、県都である長崎市と尾道とでは街の規模が全然違う。でも、異国情緒とは無縁の尾道のほうが生活の場として海に密着している感じがして、庶民的な街の雰囲気がたまらなくいい。暮らしてみたいと思える街である。

今治行きのバスの発車時刻が近づいてきたので仕方なく尾道観光を切り上げてバス停へと向う。今治への高速バスは駅前から発着するが、バスの切符売り場は改札を出て右手に50ｍくらい先の建物の1階にある。バスは予約不要なので利用しやすい。満席の心配はまずないだろう。私のときは乗車率4割程度で空席が目立った。尾道駅と新尾道駅でまとまった乗車があったのと途中の島のバス停で3名下車しただけで、ほとんどの乗客が今治駅まで利用していた。

バスは事務的に途中のバス停を経由していくが、人の乗降はほとんど無い。いくつも長大橋を渡るが観光客向けの案内放送は無く、ビジネスライクに徹している。まあ、余計な放送などしなくても外を眺めていれば橋の大きさは自ずとわかる。このあたりは島が多くて海が細切れに見える。そして水面が穏やかなので、なんだか外国の大きな湖を渡っているような感じがした。西瀬戸自動車道はまだ全通しておらず、途中２個所で一般道路へ降りなければならない。特に渋滞があったわけではないが時間のロスを感じてしまう。そういう感覚に関わらずバスは定刻通り今治駅に到着した。1時間半の乗車時間は少々長いが、尾道駅から今治駅までドアトゥドアといった感じで乗り継ぎ自体はあっけない。

しまなみ海道をバスで素通りしてしまうのはもったいない。途中の島に寄り道してこそ楽しい旅になるだろう。今回は乗り潰し優先でバスに乗りっぱなしの旅となったが、次があればぜひ徒歩や自転車で橋を渡ってみたいし、渡船を乗り継いだりしてつかの間の島民気分を味わってみたいと思う。そして、瀬戸内の海の幸も心ゆくまで味わいたいものである。

【今治駅】
高架の駅舎の一階にはコンビニと喫茶店、うどん屋があった。駅周辺はきれいに整備されているのだが商業施設は何も無く、時間潰しにはつらいものがあった。