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「駅長さん!これ以上先には行けないんすか」

 2012/02/03 旅の参考書
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タイトルからわかるとおり、「行き止まり鉄道」にスポットを当てた旅行エッセイである。

駅長さん!これ以上先には行けないんすか 駅長さん!これ以上先には行けないんすか
(2011/03/11)
北尾 トロ

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「行き止まり鉄道」=いわゆる盲腸線を取り上げた本は珍しいだけに、喜び勇んでページをめくってみたのだが…。これがなんとも期待外れだった。

読んでいて楽しくないのだ。

この著者はなんで行き止まりへの旅をはじめたのか。そして、時間がかかる割に大して面白くないその旅をなぜ続けたのか。旅の動機らしいことは一応書いてあったが、著者自身も本音ではこの旅の意味が見いだせずにいるのではないだろうか。だから読んでいてもぜんぜん文章に引き込まれないのである。

意味がなければ旅をしてはいけないのか?

いけないわけではない。無目的な旅も大いに結構だ。そんなユルさを前面に出したエッセイならそれなりに読む価値はある。だが、この本はユルいのではなくダルいのだ。

この失望感の原因は、著者が「あとがき」にわざわざ書いている。

「鉄道について修行も積んでいないのに鉄道モノを書いてしまった。どうしたらいいんだろう。書いておいて言うのもヘンだが、真摯に『テツ』の道を追求する方々の役にはこれっぽっちも立たないです。そこは自信がある。」

鉄道に詳しくなくても構わない。しかし、そこを敢えて題材として選んだのならば少しくらいは勉強して書いてもらいたい。

たとえば、首尾一貫して気動車を「電車」と呼んでいるのはいただけない。著者が住む東京では「列車」=「電車」なのはわかるが、校正の段階で誰も指摘しなかったのだろうか。もしかすると「私は鉄道のシロウトです」ということを強調するためにワザと間違いを放置したのかもしれないが、賢いやり方とは思えない。

つい辛口になってしまった。
批判だけでは公正さを欠くので、いいところも挙げておこう。

著者の鉄道への関心が薄いぶん、それ以外の食や観光については意欲的にネタを探している。

終着駅周辺の飲食店や喫茶店の味のレベルを”体を張って”評価しているのは笑えた。烏山駅前の喫茶店の激マズコーヒーとか、西小泉駅のボリュームたっぷりブラジル料理とか。こういうところは鉄道マニアの方が疎いというか、鉄道へのこだわりが強過ぎてそれ以外のことに関心が薄くなりがちだ。道中の食事はとにかく安く節約するのでその土地の名物を味わうことが無かったり、駅から離れた名所へ足を運ぶことがなかったり、というのはテツには良くある話だろう。

非テツの人たちの考え方とか行動パターンがわかったのは、わずかながらも収穫だった。

ちなみに、タイトルにある「駅長さん」はほとんど登場しません。ただのキャッチコピーです。

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ライター紹介 ライター一覧

溝口光徳

溝口光徳

1971年1月生まれ、大阪府在住の鉄ちゃんです。少ない休日に一つでも多くの鉄道路線に乗る方法として、いわゆる盲腸線(行き止まりの路線)の終点からバスや船を利用して他の路線につなぐ「抜け道探し」に夢中になり、いつしか「抜け道探し」とその踏破が旅の主目的に。
1999年にウェブサイト『終着駅のない旅』を開設。2004年にJR全線完全乗車達成。現在はJR以外の鉄道全線完乗を目指して活動中。2016年からJR全線乗りつぶし・2周目を開始。