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もしも宮脇俊三氏がイクメンだったら「時刻表2万キロ」は生まれなかっただろう

 2015/12/17 雑記帳
この記事は約 5 分で読めます。 591 Views
時刻表2万キロ

結婚したり子どもができたら自分ひとりの時間が持てなくなるから、今まで誰にも邪魔されずに楽しんできた趣味が続けられなくなる。そう考えてためらっている独身男性・既婚男性は多いことでしょう。そんな男性諸君には、結婚して子供が二人もいながら、日本全国の国鉄全線完全乗車を果たした筋金入りの鉄道ファン(乗り鉄)である宮脇俊三氏の「時刻表2万キロ」を読むことをおすすめします。ただし、30年以上前の本なので、イクメンがちやほやされる現代とは時代背景が異なることをご了承ください(笑)

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結婚は墓場か?

結婚は墓場だ、という使い古されたフレーズがあります。

  1. 結婚すればパートナーとの共同生活になるので、自分ひとりだけの時間が持てなくなる。
  2. 今まで好きなだけお金と時間をつぎ込んで楽しんできた趣味が続けられなくなる。
  3. だから結婚したくない。結婚は墓場だ。

と考えてしまうのですね。

自分と同じ趣味のパートナーに幸運にもめぐりあうことができたら最高ですが、趣味だけで結婚相手を選ぶわけではないので、夫婦ともに同じ趣味という組み合わせは意外と少ないように思います。

鉄道ファンの私が結婚、育児を経験してどうなったか

私は子どものころからの鉄道ファンで、独身時代にJR全線を完全乗車しました。

その後、結婚して子どもが2人できたのですが、大好きな鉄道ひとり旅に出かけることは難しくなりました。

妻は私の趣味に理解があるので「行ってきていいよ」と言ってくれるのですが、妻一人に家事と育児を押し付けて自分だけ楽しんでくるのは気が引けます。

なので、家族旅行という形で出かけて、途中で列車に乗ったりしています。

しかし、自分が行きたいところのごく一部に行くのが精一杯です。

そういう意味では自分を抑えた結婚生活になっているのかもしれませんが、それは妻も同じですし、趣味以外の新しい喜びをたくさん得ているという実感もあります、

なので私の感想としては「結婚は墓場」は違うと思います。

時刻表2万キロとは・孤高の極みの宮脇ワールド

そんな時、鉄道ファンのバイブルといわれる宮脇俊三氏の「時刻表2万キロ」をたまたま読み返してみました。

時刻表2万キロは、著者である宮脇俊三(みやわきしゅんぞう)氏が当時の国鉄全線を完全乗車するまでの記録をつづったものです。

初版は昭和59年(1978年)に発刊され、当時まだメジャーではなかった鉄道趣味、乗り鉄、乗り潰しというものを世に知らしめました。

「鉄道の「時刻表」にも愛読者がいる。
時刻表ほんらいの用途からすれば、愛読の対象となるべき書物ではないが、とにかくいる。しかも、その数は少なくないという。私もそのひとりである。」

という、常人には理解できない書き出しから怒涛の宮脇ワールドが展開され、鉄道ファンの共感を集め続けているこの本。

今回わたしはこの本から、夫であり父親である宮脇俊三氏の姿に共感しました。

時刻表2万キロから垣間見えた宮脇家の様子

父親の威厳

「この家には両親の年齢のわりに小さい女の子がふたりいる。父親はよく旅に出るが、つねに土産物を買ってこないので、子供たちはその帰りを待ちはしない。」(第1章 神岡線・富山港線・氷見線・越美北線)

女の子だからそもそも鉄道に興味がなかったのかもしれませんが、お土産すら買ってこない父親には余計に興味を持たないでしょう。

父親も、家族のご機嫌取りにお土産を買って帰ったりしないのが潔いですね。

妻の理解

「調子づいてしまった私は・・(中略)・・また出かけることにした。珍しく女房が、また行くの、と言った。」(第4章 美祢線・宇部線・小野田線・可部線・岩日線の冒頭)

夫がしょっちゅう鉄道を乗りに行くことを理解し、特に気にも留めていない妻。

しかしあまりに頻繁なので「また行くの」と聞いてしまったけれど、その一言で終わる「あうんの呼吸」が見事です。息の合ったご夫婦と言えるでしょう。

まわりへの気遣い

「ひとり旅はその点気楽で、こういうスリルに富んだスケジュールを実行できる。乗り遅れても、ひとりしょんぼりするだけで気兼ねはいらない。」(第4章 美祢線・宇部線・小野田線・可部線・岩日線)

家族や友人が同行しないひとり旅は寂しいのではないか、という心配は余計なお世話だとわかる文章。

ダメージを受けるのは自分一人だけでいいという宮脇氏らしい気遣いが感じられます。

時刻表2万キロから得た家族関係の教訓

このように、宮脇流ユーモアは、自虐の中にクスリと笑えるツボが仕込まれています。

「この人は父親としてどうなのか?」などと言い出すと話が噛み合わなくなるので、ここではご遠慮ください。

国鉄全線完乗という大目標達成のためにやるべきことをやっているだけで、仕方がないのです。

上の文章だけを読むと、家族がお互いに無関心なようにみえるかもしれません。

実はそうではなくて、家にいないことが多いぶん、宮脇氏は人一倍家族のことを気にかけていたそうです。

私は妻子を家に残して旅に出るのは後ろめたいと感じていたのですが、そんなことでは宮脇俊三氏の境地には到底近づけないと悟りました。

家にいようといまいと、家族を想う気持ちが伝わればなにも問題ないのですね。

もしも宮脇俊三氏がイクメンだったら

もしも宮脇氏がイクメンで、二人の娘さんの面倒を毎日のようにみていたら、時刻表2万キロは生まれなかったでしょう。

もっとも、現代において宮脇流を貫こうとするのは難しい気がします。

少し前までは、夫は外で仕事、妻は家庭・育児、という役割分担型でよかったですが、今は女性も外で働くし、男性が家事や育児をしたりという協力型がもてはやされる時代。

結婚・育児と趣味を両立するには、パートナーや子どもたちとの強いきずな、信頼関係が鍵になりそうです。

時刻表極道の凄味

「とにかく、乗るべき線がないから、もう書くこともない。だからこの阿呆らしき時刻表極道の物語を終わることにする。」(第14章 気仙沼線-開通の日)

それにしても、何度読んでも学ぶことが多い本です。

淡々とした語り口ながら、時刻表極道の凄味を感じずにはいられません。

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ライター紹介 ライター一覧

溝口光徳

溝口光徳

1971年1月生まれ、大阪府在住の鉄ちゃんです。少ない休日に一つでも多くの鉄道路線に乗る方法として、いわゆる盲腸線(行き止まりの路線)の終点からバスや船を利用して他の路線につなぐ「抜け道探し」に夢中になり、いつしか「抜け道探し」とその踏破が旅の主目的に。
1999年にウェブサイト『終着駅のない旅』を開設。2004年にJR全線完全乗車達成。現在はJR以外の鉄道全線完乗を目指して活動中。2016年からJR全線乗りつぶし・2周目を開始。