青春18きっぷと桜島の思い出

乗り尽くし紀行

青春18きっぷと桜島で思い出した。’89年、18歳の春、初めての青春18きっぷで鹿児島を旅した時の話だ。

早朝大阪を発って久留米に着いたのは0時を少し回った頃だった。夜行急行「かいもん」に乗り込んで西鹿児島駅までたどり着いた。日豊本線の車窓から見た桜島は何物にも負けない存在感で、強烈に目に焼き付いた。

生まれて初めての一人旅だった。「ものすごい冒険をしている」という高揚感があった。JRを完乗した今から見ればなにも大したことじゃなかったと言えるが、あの時ほど旅と真摯に向き合ったことはないかもしれない。

隼人駅で日豊本線から肥薩線へ乗り換えた。この旅の目的地は熊本県人吉市の南西に隣接する鹿児島県大口市(現・伊佐市)にある親戚の家。栗野駅で大口行のバスに乗り換える算段である。思えば初めての旅からローカルバスを駆使していたのだった。

肥薩線の車中。大きなカバンを脇に抱えて、一目で旅行者とわかる風体の私。車内を巡回する車掌から声を掛けられた。

「記念にオレンジカードはいかがですか?」

不意の問い掛けでとっさに言葉が出なかった。一呼吸置いて口から出たのは

「そうですねえ…」

人のよさそうな車掌に断りきれなかった。次の駅が近づいてきた。

「じゃあ、この中から選んでいてくださいね。」

いろいろなデザインのオレンジカードが入ったケースを私に手渡して車掌室へ戻っていった。

(えーっ!盗まれたってしらないよー)

少々困惑したが、おかげでじっくり選ぶことができた。鉄道好きなのに列車の写真のカードには目もくれず、桜島が噴煙を上げている風景の一枚を選んだ。1000度数を使い切って小穴が打たれたそのカードを、今も捨てずにしまっている。

orangecard (2)

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