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第5節 − 真の幸せをさがして/肥薩線・真幸駅(前編)
国道447号線の脇に立てられた真幸駅入り口の看板。車で訪れる場合はこの看板を見落とさないように注意してください。私は見落としました。ちなみに、看板には「真の幸せへの入場券は人吉駅で販売しています」という宣伝文句が。「そうか、まさきって真の幸せって書くんだ!」 駅名を何度も見ていたのになぜか初めてそのことに気がつきました。
【一】 車で真幸駅を訪ねる
以前、鹿児島へ帰省したときに山野線廃線跡めぐりというのをやってみました。今回は今なお現役の大御所、肥薩線・真幸駅を車で訪ねてみることにしました。過去2回矢岳越え区間を乗車しましたが、いずれも途中駅には降りることができなかったので、ゆっくり駅を眺めてみたかったのです。時間があれば「いさぶろう」「しんぺい」に乗車すれば良かったのですが・・・それはまたの機会に譲るとして、とりあえず鹿児島県大口市から国道447号線でえびの方面へと車を走らせました。
【二】 なぜか吉都線・京町温泉駅に到着
大口の市街地は快適な2車線道路だった447号線でしたが山に入ると昔ながらのくねくねの山道になっていました。地図によるとこの道沿いに真幸駅があることになっています。峠を越える辺りで宮崎県に入り、もうすぐかと注意しながら車を走らせます。徐々に山を下り田んぼや民家も見え始めました。まだかな〜と思っているうちに平地まで降りてしまい、あろうことか吉都線・京町温泉駅に着いてしまいました。こんなはずでは・・・。
せっかく来たので駅に入って写真を数枚撮影。殺風景なホームにきれいな看板を発見。“情緒たっぷり、屋形船のある温泉郷”、京町温泉へお出でになりませんか?無人駅のホームに掲げられたこの看板にどれほどの人が目をとめるのであろうかと考えると気の毒に思えた。 | 【三】 気を取り直して引き返す どう考えても今来た道以外に真幸駅へ行く方法はない。もしかしたらわき道へ入らなければならないのかもしれないが、それにしても駅を指す看板を見た覚えが無い。とにかく引き返してみてわからなければ地元の人に聞いてみるしかないと思い、再び山を登る。民家が少なくなり、いよいよ峠に入るというところで道路脇に小さな看板を見つけて急ブレーキをかけた。それが冒頭の写真です。なるほど、大口から京町へ行く場合は丁度陰に隠れてしまって看板に気づかなかったのです。
左の写真は駅へと続く細い道。左が国道447号線。右の坂を登ったところに真幸駅があります。
私があれほど探しまわったというのに、駅は当たり前のように存在していた。朝の光を浴びた駅は、はるばるやってきた珍妙な客をあたたかく迎えてくれたように見えた。
駅の備品ひとつひとつに懐かしさとぬくもりを感じる。
きれいに並べられた貸し本。1本も残っていなかったけど、貸し傘立てもあった。有名駅にはおなじみの旅ノートとスタンプ。壁にはスタンプの盗難を注意する張り紙が。スタンプは台に鎖で繋がれているものの、心無い人に持っていかれることがあるという。