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第5節 − 真の幸せをさがして/肥薩線・真幸駅(後編)
【四】 つわものどもが夢の後 不釣合いと思えるほど長く延びるホームにこの駅の歴史を感じます。かつては旅客を満載した列車や貨物列車があわただしく出入りしていたに違いない。今や一日5往復の普通列車が往復するだけのローカル路線であるという現実を寂しく思います。
車止めの奥に見えるコンクリートの壁は砂防ダムです。昭和47年の土砂崩れ災害の後に築かれたもので、それ以前はさらに奥までホームが延びていたそうです。
この駅の名物「幸せの鐘」
日本庭園にたとえられたほどその美しさが評判だった真幸駅のホームも、手入れされることなく荒れるに任せている。
【五】 このまま幕は降りてしまうのか?
真幸駅の駅前から国道の方をのぞくと、写真のような工事風景が見えた。今はか細い国道447号線もいずれ立派な2車線道路に生まれ変わるのだろう。そうなったとき、真幸駅はどうなっているのだろうか? 宮崎〜熊本・博多間の旅客輸送はスピードでは高速バスにかなわない以上、矢岳越え区間は観光路線としての存続しか手はないと思われます。しかしながら、細々と観光列車の「いさぶろう」「しんぺい」を運行しているだけではこの路線を維持する理由にはなり得ないでしょう。沿線に目立った観光地も無く、立地的に集客の難しさはありますが、旧山陰本線を観光向けに転換した嵯峨野観光鉄道のようになれば良いと思います。絵空事に過ぎないとはわかっていますが、でもこのまま行くと・・・遠からず幕を降ろすときが来るのではないか、という危惧を持たざるを得ないのです。
【追記】 2004/6/26
2004年3月の九州新幹線部分開業にあわせて、JR九州は新幹線に接続する在来線列車の見直しを行った。象徴的だったのは、鹿児島中央駅と肥薩線・吉松駅の間に観光特急の「はやとの風」、2往復を新設し、それと接続するように「いさぶろう」「しんぺい」を走らせるようになった。これでもまだ、集客効果としては微々たるものに違いないが、少なくともJR九州が積極的に肥薩線をPRしようとしているのは、とても良い事だと思った。