おすすめ度 | ★★★(超おすすめ!) |
訪問日 | 1998年5月2日 |
訪問記 | 肥薩線はかねてから乗ってみたいと思っていた路線であったが、おいしいものを後に残しておくような感じで九州乗りつぶしの終盤まで手をつけずにおいていた。熊本駅8:21発の急行えびの1号に乗車する。席がほぼ埋まる程度の乗客を乗せて、汽車は発車した。八代までは鹿児島本線の上を走る。長い直線が続き、気動車2両編成の急行えびのも、“急行”らしく軽快に駆け抜けていく。簡易リクライニングシートは快適とは言い難いが、それもまた旅情をかき立てる要素となる。最初の停車駅・八代を過ぎると、いよいよ肥薩線へと乗り入れていく。八代を出てほどなく、列車は球磨川に出合う。八代から人吉まで1時間と少しであるが、そのほとんどの時間を球磨川とともに過ごすことになる。球磨川は日本三大急流の一つだそうだが、水量が豊かで風格があり、1時間眺めていても全然飽きない。 列車は途中、球泉洞という駅に停車した。ここは、球磨川下りの船の終着地であるが、朝方のせいか乗る人も降りる人もなく寂しい駅のように見えた。それにしても下車してみたいと思わせる駅名である。手持ちのガイドブックで球泉洞を探してみたが、全くふれられていなかった。 球磨川の流れから離れるとまもなく人吉に到着した。到着前に「人吉駅のホームで新茶のキャンペーンをしています。」という車掌のアナウンスが流れた。ホームに降り立つとそろいのハッピをきた人たちが我々を待ち受けていた。列車は人吉駅で数分停車するのでこのまま宮崎方面へ向かう人たちもホームに降りて新茶を味わっていた。その様子をNHKが取材に来ていたが、ニュースで使われたのかどうかは確認できなかった。 人吉駅に降りてはみたが、どこへ行くかは決めていない。とりあえず青井阿蘇神社というのが名所で駅から近いようなので行ってみた。神社の建物は桃山建築で、重要文化財にも指定されているそうだが、詳しいことを言われてもわからない。神社仏閣というのは、行ってみてもホウと感心して終わることがほとんどで、あまり記憶に残らない。多少の予備知識はあった方がいいなと思う。 青井阿蘇神社を後にして、次は球磨川を渡って武家蔵や人吉城跡の方へ歩いてみる。静かな佇まいで、城下町であった頃の様子がうかがえる。人吉城跡は復元された櫓がある以外は石垣が残るのみであった。しかし、この城は球磨川を堀に見立てて建てられており、天然の要塞といった趣であった。 私の人吉訪問はここまでですが、3時間位あれば徒歩で十分見て回れる範囲である。 人吉観光の目玉といえば球磨川下りであるが、私自身はあまり興味がなかったので予定には入れていなかった。しかし、今回球磨川の姿を見て少し気が変わった。船で川を下って、あの球泉洞駅から肥薩線に乗り込むというのもおもしろそうだ。料金が高いのが難点であるが、それだけの価値はあると思う。それからもう一点、肥薩線の矢岳越え区間に観光列車の「いさぶろう」「しんぺい」が運行されている。畳敷きの席もあるそうなので鉄道ファンならずとも乗車してみてはいかかでしょうか。 |
おすすめの ポイント |
人吉には九州自動車道のインターチェンジがあり、人吉を訪れる観光客もバス利用者がかなりの割合を占めると思われる。しかし、球磨川を車窓からのんびり眺めるなら、バスより列車のほうが良い。高速道路からでは球磨川を見ることはできないし、片道は川下りの船に乗るにしても、もう片道を列車に乗ればまた違った視点で球磨川を眺めることができる。それに、熊本−人吉間は1日7往復の急行列車が運行されていて利用しやすい。鉄道旅行に興味のない方にもぜひおすすめしたい路線である。 |
データ | 【人吉駅】 肥薩線の中間駅では唯一と言っていいくらいのまとまった市街地があり、古くから交通の要衝として栄えた。ここからくま川鉄道(かつての国鉄湯前線)が分岐しており、以前は熊本からの急行列車が乗り入れていたが、現在はなくなってしまった。 【肥薩線】 |
駅周辺の様子 | 駅前にはあまり商店はなかったが、5分も歩けば街の中心部で商店や温泉旅館が並ぶ。 人吉駅では駅弁の取り扱いがある。 |
その他の情報 (観光情報) |
【くま川鉄道・湯前駅〜日豊本線・宮崎駅
乗り継ぎ】 時刻表のさくいん地図を見ると、くま川鉄道の終点・湯前から路線バスを乗り継いで宮崎へ行くことができるようですが、あまり効率的ではなさそうなのでここでは紹介していません。おすすめはしませんが、興味があれば利用してみて下さい。 【人吉温泉】 【球磨川下り】 |
人吉駅に停車中の急行えびの JR九州らしい明るいカラーリングと大きめのロゴが塗装されている。列車はこの後、名にし負う矢岳越えへと向かう。 【追記】 |