只見線・会津柳津駅 途中下車
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おすすめ度 (気が向けばどうぞ!)
訪問日 1997年11月 3日
訪問記

1997年秋。念願だった只見線に乗車しました。ご存知の通り只見線は距離が長くて運転本数が少ない乗りつぶしの難所です。短い休暇を利用して乗りに行くにはどうしても手をつけにくかったのですが、たまたまこの年は只見線に臨時列車の設定があったのでこの機を逃すまいと出かけていきました。

大阪発の急行「きたぐに」を直江津で下車し、信越本線の普通列車で2つ先の犀潟までやってきた。犀潟からはその年の3月に開通したばかりの北越急行が分岐しています。この新線ができたおかげで関西から日本海周りで上越方面へアクセスし易くなった。犀潟駅は北越急行の自動券売機が設置されていることとホームの先から真新しい高架橋が延びていることを除けば何の変哲も無い無人駅で、駅舎やホームにはほとんど変更が加えられていないようだった。越後湯沢行きの始発列車はホームの中ほどにぽつんと停車していた。車内からどんより曇った空を眺めていたら、窓に白い破片がいくつも打ち付けられた。ホームに点々と転がる氷の粒に、ここが冬に近い場所であることを気づかされた。

看板特急の「はくたか」ではなく普通列車に乗車したのだが、高規格の軌道と新型電車のおかげで見事な俊足を披露してくれた。終着の越後湯沢駅で上越線を折り返して小出駅に到着した。まだ11月の初めだというのにまわりの山々はすでに雪化粧していた。これから乗る只見線の臨時列車の名称は「もみじ狩り号」だというのに、雪を見に来たような按配になった。実際、小出駅を出発して高度が上がってくるとあたり一面雪景色になり、追い討ちをかけるように雪が降り出してきた。それも吹雪といって差し支えないくらいの大雪である。思わぬ出迎えに仰天したが、一足早く雪を見られたのも幸運と言えなくも無い。

六十里越の分水嶺までは末沢川に寄り添い、列車から渓谷美を堪能することができる。国境の長いトンネルを抜けると只見川を堰き止めて造られた田子倉湖が一瞬姿を見せる。さらに次のトンネルを抜けると只見駅に到着した。「もみじ狩り号」の運転はここまでで、ホームの向かいに停車している定期列車に乗りかえた。只見駅での接続が良すぎて駅の外を探検する時間が無かったのが残念だった。でもきっと再びこの地へ来るだろうという確信はできていたので後悔はない。只見線のまだ中間地点までしか来ていないというのに私はもう十分満足していた。

繰り返しますが、只見線は極端に運転本数が少ない。それゆえ途中下車をするのは勇気がいります。下手をすると時間潰しに困るようなところで何時間も待ちぼうけを食うことも有り得るのですから、下車駅の選択は思案のしどころです。その日は会津若松に宿を取っていたのですが、今乗っている列車で会津若松まで行ってしまうと早く着き過ぎてしまうので是非とも途中下車したい。念の為買っておいたガイドブック(「エアリアガイド会津・磐梯・福島・米沢・郡山」−昭文社刊)をじっくり眺めて、会津柳津で下車することに決めました。只見線の沿線には目立った観光地はないのですが、柳津には圓蔵寺という寺があって多くの参拝客が訪れているという説明に興味をひかれたからです。

会津柳津駅のちっぽけなホームには私を含めて5人ほど下車した。見知らぬ駅に降り立つ瞬間、何とも言えない緊張感と満足感を感じる。この感覚を味わうために旅をしているのかもしれないなあ・・・と、これは余談です。駅を出て蔵寺へ向かう。人通りの無い道を10分ほど歩くと寺の山門が見えた。紅葉に囲まれた階段を登ったところに本堂である菊光堂があった。菊光堂からは眼下に只見川の穏やかな流れを望むことができます。境内は紅葉が見事で、寺の静かな雰囲気に似つかわしかった。寺を出て只見川の川べりを歩いてみる。この当たりは流れも緩やかで、川下りの船が何艘か係留されていたが、今は営業時期を過ぎているらしく放置されたような状態であった。

この地には温泉が湧き出しており、温泉宿も数軒あったのだが公衆浴場が見当たらず、冷えた体を温めることはできなかった。その代わり当地の名物である粟まんじゅうを食してみた。正直言ってそれほどおいしいものではなかったですが、縁起物ですので柳津を訪れたら食べてみてください。

おすすめの
ポイント
ふらりと途中下車を楽しむには丁度良い。まだ荒されていない小さな観光スポットです。
データ

【只見線】
小出−会津若松間、135.2qを結ぶ長大ローカル線。所要時間は早い便で4時間20分もかかるうえ、全線を乗車できるのは1日3往復に過ぎない。乗りつぶしには厄介な路線といわなければならないが、車窓風景は格別のものがあり鉄道ファンを魅了する路線とも言える。只見〜大白川間が開通して只見線が全通したのは昭和46年8月29日のことだそうです。開通日の光景については、宮脇俊三氏の「汽車旅12ヶ月」(新潮社)が詳しいので是非ご一読いただきたい。

駅周辺の様子 【会津柳津駅】
広い駅舎内の真中にストーブが焚かれていて、周りのベンチに座った高校生が黙って読書に耽っていた。そんな静かな印象が残っています。駅前の線路脇には蒸気機関車が保存されていました。駅前に商店はなし。駅から圓蔵寺までは徒歩10分ほど。
その他の情報
(観光情報)
【名物・粟まんじゅう】
圓蔵寺の住職が考案したというまんじゅうで、「災難に遭わないように」という縁起をかついでいるのだそうです。圓蔵寺の周辺には粟まんじゅうを作っているお店が数軒あり、蒸かしたてを1個単位で買うことができます。美味というほどではなかったですが、一つ50円前後ですので試食してみてはいかがでしょうか?

Photo

開運・撫牛

民芸品・赤ベコの由来といわれる撫牛の巨大模型です。

圓蔵寺の山門

紅葉に包まれた参道は山寺らしい落ち着いた風情が感じられた。階段は短いですので脚力に自信がない方もご安心を。

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